この記事を書いた人:光栄水産(兵庫県赤穂市・坂越湾で牡蠣を育て、加工まで行う生産者)
殻付き牡蠣の商品説明で、「浄化」という言葉を見かけたことはありませんか。「牡蠣を浄化するってどういうこと?」「どれくらいの時間をかけるの?」と気になった方もいるかもしれません。
結論からいうと、浄化とは、殻付き牡蠣を出荷する前に、きれいな海水を張った水槽でしばらく過ごさせる工程のことです。光栄水産では、殻付き牡蠣を紫外線殺菌海水で24時間以上浄化してから出荷しています。
この記事では、浄化が行われる理由と、坂越湾で育てた殻付き牡蠣が海から食卓に届くまでの流れ、ご家庭で気をつけたいことを紹介します。
- 牡蠣の「浄化」とは?
- なぜ浄化が必要なの?牡蠣の食べ方から考える
- 生食用と加熱用の表示
- 光栄水産の殻付き牡蠣が出荷されるまで
- むき牡蠣・冷凍むき牡蠣の場合
- 届いたあとに気をつけたいこと
- よくある質問
牡蠣の「浄化」とは?
浄化とは、海から引き上げた牡蠣を、きれいにした海水の中にしばらく入れておき、牡蠣自身の働きで体の中のものを外に出させる工程のことです。「蓄養(ちくよう)」と呼ばれることもあります。
浄化に使う海水は、くみ上げた海水をそのまま使うのではなく、紫外線を当てるなどして殺菌したものが使われることが多いようです。牡蠣を水槽に並べ、その海水をかけ流したり循環させたりしながら、決められた時間を過ごさせます。
浄化の方法や時間は、産地や生産者によって違います。光栄水産では、紫外線殺菌海水で24時間以上を基準にしています。
なぜ浄化が必要なの?牡蠣の食べ方から考える
牡蠣は、海水を体の中に吸い込み、その中に含まれるプランクトンなどをこし取って食べています。動き回ってえさを探すのではなく、海水ごと取り込んで、えさだけを残す暮らし方です。
そのため、牡蠣の体の中には、育った海の水に含まれていたものが取り込まれます。そこで、出荷の前にきれいな海水の中で過ごさせ、ふだんと同じように海水を吸ったり吐いたりする働きを利用して、体の中のものを外へ出させる――これが浄化の考え方です。
牡蠣が海の中でどのように暮らし、なぜおいしく育つのかは、動かない貝が、美味しくなる理由。でも紹介しています。
ただし、浄化をしたからといって、牡蠣の中の微生物がすべてなくなるわけではありません。だからこそ、商品に書かれた「生食用」「加熱用」の表示や、保存方法・期限を守っていただくことが大切です。
生食用と加熱用の表示
スーパーなどで売られている牡蠣には、「生食用」「加熱用」の表示があります。この違いは、一般に鮮度の違いではなく、とれた海域や、出荷までの処理などの違いによるものです。
| 表示 | 食べ方 |
|---|---|
| 生食用 | 表示どおりに保存し、期限内であれば生で食べられる |
| 加熱用 | 必ず加熱して食べる。中心部が85〜90℃で90秒以上が目安(厚生労働省) |
「加熱用」と書かれた牡蠣は、生で食べず、しっかり加熱して料理に使ってください。
光栄水産の殻付き牡蠣が出荷されるまで
光栄水産は、兵庫県赤穂市の坂越(さこし)湾で牡蠣を育て、水揚げから出荷までを自社で行っています。殻付き牡蠣は、次のような流れで皆さまのもとへ届きます。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 1. 選別 | コンベアの上で、形の整った牡蠣を選ぶ |
| 2. 付着物の除去 | 殻についた付着物を落とす |
| 3. 活かし込み | 丸い専用のカゴに入れて海へ戻し、身を太らせる。期間はひと潮(約14日間)以上 |
| 4. 水揚げ・洗浄 | 海から引き上げ、殻を洗う |
| 5. 浄化 | 紫外線殺菌海水で24時間以上浄化する |
| 6. 梱包・出荷 | 梱包して出荷する |
浄化は、海での仕事を終えた牡蠣が出荷される前の、最後のひと手間です。「活かし込み」や、一年を通した養殖の仕事については、牡蠣養殖の1年〜海から届くまでの物語や、バスケット養殖とは?牡蠣を育てる夏の海と生産者の仕事もあわせてご覧ください。
むき牡蠣・冷凍むき牡蠣の場合
殻をむいて出荷する「むき牡蠣」は、水揚げしたあと一粒ずつ殻をむき、紫外線で殺菌した海水で洗浄します。サイズごとの選別などの一連の作業も、紫外線で殺菌した海水を使って行っています。
冷凍むき牡蠣は、むき牡蠣を凍結した商品です。必要な分だけ取り出して使えるので、殻付き牡蠣のシーズン以外にも、牡蠣料理を楽しんでいただけます。
届いたあとに気をつけたいこと
生産者がどれだけ手をかけても、届いたあとの扱いで牡蠣の状態は変わります。ご家庭では、次の3つを守ってください。
- 表示どおりの温度で保存する:冷蔵・冷凍の指定を確認し、届いたらすぐに冷蔵庫・冷凍庫へ
- 期限内に食べる:期限は表示どおりの方法で保存した場合のもの。開封後は早めに
- 表示に合った食べ方をする:「加熱用」は必ず加熱。生食用でも、体調がすぐれないときや、小さなお子さん・ご高齢の方が食べるときは、加熱して食べるのがおすすめです
期限の考え方については、賞味期限と消費期限の違い|冷凍の牡蠣・缶詰はどう考える?でくわしく紹介しています。
冬の殻付き牡蠣のシーズンについて
光栄水産の生の殻付き牡蠣「坂越の生かき」は、例年12月中旬〜5月中旬、生のむき身は例年11月中旬〜4月下旬がシーズンです。時期は、その年の海の状況によって前後します。冬のシーズンのはじまりについては、旬のはじまりを味わう。坂越の牡蠣、走りの季節。もどうぞ。
よくある質問
Q. 浄化した牡蠣なら、加熱しなくてもいいですか?
A. 生で食べられるかどうかは、「生食用」「加熱用」の表示で判断してください。浄化をしていても、加熱用と表示された牡蠣は必ず加熱して食べてください。生食用であっても、表示どおりの保存方法と期限を守ることが前提です。
Q. 家庭で牡蠣を浄化することはできますか?
A. 殺菌した海水を用意して一定の時間を過ごさせる工程なので、ご家庭で同じことを行うのはむずかしいです。届いた牡蠣は表示どおりに保存し、早めに召し上がってください。
Q. 「活かし込み」と「浄化」は何が違いますか?
A. 活かし込みは、出荷の前に牡蠣を海へ戻し、ひと潮(約14日間)以上かけて身を太らせる工程です。浄化は、水揚げしたあとに陸の水槽で、紫外線殺菌海水を使って24時間以上過ごさせる工程です。場所も目的も違います。
まとめ
- 浄化とは、殻付き牡蠣を出荷前にきれいな海水の水槽で過ごさせ、体の中のものを外に出させる工程
- 光栄水産では、紫外線殺菌海水で24時間以上浄化してから出荷
- 生で食べられるかどうかは「生食用」「加熱用」の表示で判断。加熱用は中心部85〜90℃で90秒以上が目安
- 届いたら表示どおりに保存し、期限内に食べる
牡蠣が食卓に届くまでには、海での仕事と陸での仕事、たくさんの工程があります。次に牡蠣を食べるとき、そんな道のりを少し思い浮かべてみてください。
出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」(加熱の目安)。光栄水産の工程は社内資料にもとづきます。浄化の方法・時間は産地や生産者によって異なります。保存方法・期限は各商品の表示に従ってください。シーズンは例年の目安で、その年の海の状況により前後します。
※画像はイメージです