牡蠣にオスとメスはある?性が変わると言われる牡蠣のふしぎ

この記事を書いた人:光栄水産(兵庫県赤穂市・坂越湾で牡蠣を育て、加工まで行う生産者)

牡蠣を食べていて、ふと「牡蠣にもオスとメスってあるの?」と思ったことはありませんか。殻を開けても、見た目ではほとんど区別がつかない牡蠣。実は、その性について、ちょっと不思議な話があります。

結論からいうと、マガキ(真牡蠣)にはオスとメスがあり、しかも成長や環境によって性が変わることがあるとされています。「一度オスだった牡蠣が、次の年にはメスになっている」ということも起こりうる、と言われているのです。

この記事では、牡蠣の性と産卵の話を、坂越(さこし)湾で牡蠣を育てる生産者の立場から、できるだけやさしく紹介します。生物学の詳しい内容は研究機関の解説もあわせてご覧ください。

  • 牡蠣にオスとメスはある?
  • 性が変わると言われる牡蠣のふしぎ
  • 牡蠣の産卵の季節
  • 見た目でオス・メスは分かる?
  • 三倍体の牡蠣との違い
  • よくある質問

牡蠣にオスとメスはある?

私たちが食べている真牡蠣(マガキ)には、オスとメスがあるとされています。産卵の時期になると、オスは精子を、メスは卵をつくって、体の中にたくわえます。

貝の仲間には、1つの体にオスとメスの両方の働きを持つものもいますが、マガキは基本的に1個体がオスかメスのどちらかになる生き物だと説明されることが多いようです。ただ、まれに両方の性の特徴を持つ個体が見つかることもあるとされています。

性が変わると言われる牡蠣のふしぎ

牡蠣のおもしろいところは、オス・メスが一生決まっているわけではないとされている点です。マガキは、産卵の季節をくり返すうちに、オスからメスへ、あるいはメスからオスへと性が変わることがある、と言われています。

どんな条件で性が変わるのかについては、さまざまな説明があります。一般的には、次のようなことが関係していると言われています。

関係すると言われていること一般的な説明
年齢・大きさ若く小さいうちはオスが多く、成長するとメスが増える傾向があるとされる
栄養の状態餌が豊富で栄養をたくわえた個体はメスになりやすい、という説明がある
まわりの環境水温など、育つ海の環境も影響すると考えられている

卵をつくるには、精子をつくるよりも多くのエネルギーが必要だと考えられています。そのため、「体が大きく、栄養をたくわえた牡蠣ほどメスになりやすい」という説明がよく見られます。ただし、仕組みにはまだ分かっていないこともあるとされ、研究が続けられている分野です。

牡蠣の性や生態について詳しく知りたい方は、国立研究開発法人 水産研究・教育機構など、水産の公的な研究機関が公開している解説を調べてみてください。

牡蠣の産卵の季節

一般的な真牡蠣は、水温が上がる夏ごろに産卵の時期を迎えるとされています。産卵の前は、体の中に卵や精子をたくわえるため、身がふっくらとした状態に。そして、オスもメスも海の中に精子や卵を放出し、海の中で受精すると説明されています。

受精した卵は、小さな幼生となってしばらく海の中をただよい、やがて岩や貝殻などにくっついて、殻を持つ牡蠣として育っていくとされています。牡蠣の養殖は、この「くっつく」性質を利用して始まります。

産卵を終えた牡蠣は、たくわえていたものを放出するため、身がやせて味わいも変わると言われています。「牡蠣は冬」というイメージが強いのも、産卵前の夏とは違い、冬から春にかけてが身入りのよい季節だからです。

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見た目でオス・メスは分かる?

殻を開けた牡蠣を見ても、ふだん私たちがオス・メスを見分けることはほとんどできません。研究の場では、身の一部を顕微鏡で観察して、卵か精子かを確かめる方法などが紹介されています。

食卓に並ぶ牡蠣がオスかメスかで、料理の仕方を変える必要もありません。どちらも同じように、酒蒸しやフライ、炊き込みごはんで楽しめます。食べながら「この牡蠣はどっちだろう」と想像してみるのも、ちょっとした楽しみになりそうです。

牡蠣のからだのつくりについては、牡蠣の貝柱はどこ?部位の名前と食感のちがいでも紹介しています。

三倍体の牡蠣との違い

牡蠣の性や産卵の話でよく出てくるのが、「三倍体(さんばいたい)」という言葉です。一般的な牡蠣が2組の染色体を持つ「二倍体」であるのに対し、三倍体は3組の染色体を持つ牡蠣のことで、卵や精子がつくられにくく、産卵しにくいとされています。

産卵に使うはずのエネルギーが身の成長に回りやすいため、夏でも身入りが保たれやすいと言われています。今回紹介した「オス・メスが入れ替わる」話は、主に一般的な二倍体の牡蠣についての話です。三倍体の詳しい説明は、三倍体の牡蠣とは?夏の真牡蠣の身がやせにくいと言われる理由をご覧ください。

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よくある質問

Q. オスとメスで味は違いますか?

A. 牡蠣の味わいは、季節や育った海、身入りの状態などによって変わるため、オスかメスかだけで一概には言えません。食卓では気にせず楽しんでいただいて大丈夫です。

Q. 牡蠣はどのくらいで大きくなりますか?

A. 海の状態や育て方によって違います。牡蠣の成長については、牡蠣の豆知識『成長速度』でも紹介しています。

Q. 冷凍むき牡蠣を加熱して食べるときの目安は?

A. 冷凍むき牡蠣200gは生食用ですが、加熱して食べる場合は、中心部が85〜90℃で90秒以上を目安に、しっかり火を通してください(厚生労働省)。解凍の方法は商品の表示に従ってください。

まとめ

  • 真牡蠣(マガキ)にはオスとメスがあるとされる
  • 成長や栄養状態、環境によって、オスとメスが入れ替わることがあると言われている
  • 一般的な真牡蠣は夏ごろに産卵し、卵と精子は海の中で受精するとされる
  • 三倍体の牡蠣は産卵しにくいとされ、二倍体の牡蠣とは事情が異なる

身近な牡蠣にも、まだまだ知られていないふしぎがあります。次に牡蠣を食べるときは、海の中での暮らしにも思いをはせてみてください。

出典:牡蠣の性・産卵の説明は一般的な内容です(詳しくは水産の公的な研究機関の解説をご覧ください)。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」(加熱の目安)。保存方法・期限は、冷凍むき牡蠣の商品表示に従ってください。
※画像はイメージです