この記事を書いた人:光栄水産(兵庫県赤穂市・坂越湾で牡蠣を育て、加工まで行う生産者)
8月も終わりに近づき、海水浴場がにぎわう季節もひと区切り。けれど、牡蠣を育てる海では、夏も大切な仕事が続いています。
「牡蠣って、どうやって育てているの?」「夏のあいだは何をしているの?」──そんな疑問に、兵庫県赤穂市・坂越(さこし)湾で牡蠣を育てる光栄水産がお答えします。
結論からいうと、光栄水産が取り入れているバスケット養殖は、専用のかご(バスケット)に牡蠣を入れ、波で転がしながら育てる方法です。夏のあいだも、牡蠣の成長に合わせてバスケットを入れ替え、海水温や潮のようすを見て漁場を移すといった世話を続けています。
- 牡蠣の養殖方法は大きく2つ
- バスケット養殖とは?
- 夏の海で続く、生産者の仕事
- 夏に牡蠣を楽しむなら
- よくある質問
牡蠣の養殖方法は大きく2つ
日本の牡蠣養殖では、海に浮かべたいかだからロープを垂らし、そこに牡蠣を育てる垂下(すいか)式が広く行われています。ホタテの貝殻などに牡蠣の赤ちゃんをたくさん付け、ロープにつるして海の中で育てる方法です。
これに対して、バスケット養殖は、牡蠣を一粒ずつばらばらの状態で専用のかごに入れて育てる方法です。坂越湾では、光栄水産もこの2つの方法で牡蠣を育てています。
| 垂下式(いかだ・ロープ) | バスケット養殖 | |
|---|---|---|
| 育て方 | 貝殻などに付けた牡蠣をロープでつるす | 牡蠣を一粒ずつかごに入れる |
| 牡蠣の状態 | いくつもの牡蠣がかたまりで育つ | 一粒ずつ、ばらばらに育つ |
| 世話のしかた | いかだとロープの管理が中心 | かごの入れ替え・漁場の移動などをこまめに行う |
バスケット養殖とは?
一つの殻に、一粒の牡蠣
バスケット養殖では、シングルシードと呼ばれる、一つの殻に一粒ずつ育つ牡蠣の赤ちゃんを使います。光栄水産では、約4mmの大きさから育て始めます。最初から一粒ずつ分かれているので、まわりの牡蠣とくっつかずに育つのが特徴です。
波で転がしながら育てる
専用のバスケットに入れた牡蠣は、波に揺られてかごの中で転がります。牡蠣同士がぶつかり合うことで、殻の形が整いやすく、貝柱が太くなると私たちは考えています。転がる刺激が、身の詰まった牡蠣を育てる手助けになるのです。
成長に合わせて、かごを何度も入れ替える
牡蠣は育つにつれて大きくなり、同じかごに入れたままだと窮屈になっていきます。そこで、成長に合わせてバスケットを何度も入れ替え、ちょうどよい環境で育つようにしています。手間はかかりますが、一粒ずつの牡蠣に目が届くのが、この方法のよいところです。
牡蠣がどんなふうに大きくなっていくのかは、牡蠣は1年でここまで育つ。知られざる成長の秘密でも紹介しています。
夏の海で続く、生産者の仕事
夏は、日差しが強く海水温が上がる季節。台風が近づくこともあり、海のようすが大きく変わりやすい時期です。牡蠣は自分で動けない生きものなので、環境の変化にどう対応するかは、育てる人の判断にかかっています。
1. 海水温や潮を見て、漁場を移す
バスケット養殖では、海水温や潮のようすを見て、牡蠣を育てる場所(漁場)を移動します。同じ湾の中でも、場所によって水温や潮の通り方は違います。牡蠣にとって過ごしやすい場所を選んで移すことは、夏の大切な仕事のひとつです。
2. かごの入れ替えと、牡蠣のようすの確認
入れ替えの作業は、牡蠣のようすを間近で確かめる機会でもあります。殻の育ち方や大きさを見ながら、かごの中の数を調整していきます。
3. 台風の季節への備え
夏の終わりから秋にかけては、台風の季節でもあります。海が荒れる前後には、養殖の設備や牡蠣のようすを見回ることが欠かせません。9月の海で起こることは、台風シーズンと牡蠣養殖。9月の海で起こることで詳しく紹介しています。
牡蠣は、海の中のプランクトンなどを食べて育ちます。人がえさを与えるのではなく、海そのものの力で育つからこそ、生産者は毎日の海のようすに目を配っているのです。
夏に牡蠣を楽しむなら
坂越の牡蠣が生のまま食卓に届くのは、秋の終わりから春にかけて。生鮮のむき牡蠣は11月中旬ごろから、殻付きの「坂越の生かき」は12月中旬ごろからが目安です(海の状況によって変わることがあります)。夏の真牡蠣は、年によって出荷状況が変わります。
それまでのあいだ、手軽に牡蠣料理を楽しめるのが、冷凍むき牡蠣200g(生食用)です。使う分だけ取り出して解凍できるので、暑い時期でも炒めものや炊き込みごはんに気軽に使えます。加熱して食べるときは、中心部が85〜90℃で90秒以上を目安に、しっかり火を通してください(厚生労働省)。
そのまま食べられる牡蠣の加工品なら、牡蠣の缶詰4種ギフトボックスもおすすめです。醤油煮・アヒージョ・ラー油・コンフィの4種が1缶ずつ入っています。
よくある質問
Q. 牡蠣にえさはあげているのですか?
A. 牡蠣は、海水を取り込んで、その中のプランクトンなどを食べて育ちます。人がえさを与える必要はありません。だからこそ、どんな海で育つかが大切になります。
Q. なぜ漁場を移すのですか?
A. 同じ湾の中でも、場所によって海水温や潮の通り方が違うためです。光栄水産では、海のようすを見ながら、牡蠣にとって過ごしやすい場所へ移しています。
Q. 生の牡蠣はいつごろから買えますか?
A. 生鮮のむき牡蠣は11月中旬ごろから4月下旬ごろ、殻付きの「坂越の生かき」は12月中旬ごろから5月中旬ごろが目安です。海の状況によって変わることがあります。
まとめ
- 牡蠣の養殖には、ロープでつるす垂下式と、かごで育てるバスケット養殖がある
- バスケット養殖は、一粒ずつの牡蠣をかごに入れ、波で転がしながら育てる方法
- 夏も、成長に合わせたかごの入れ替えや、海水温・潮を見た漁場の移動が続く
- 生の牡蠣の季節までは、冷凍のむき牡蠣や缶詰で牡蠣を楽しめる
食卓に牡蠣が並ぶとき、海の上で続いている夏の仕事を少しだけ思い浮かべてもらえたらうれしいです。
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出典:養殖の方法・工程は光栄水産の会社資料による。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」(加熱の目安)。生鮮品の時期は目安で、海の状況によって変わります。
※画像はイメージです