その牡蠣に願えば、海がそっと聞いてくれる。宮島に伝わる小さな祈り。

牡蠣に願いごとを言うと、海が聞いてくれる

― 宮島に伝わる、海と心をつなぐ静かな祈り ―

瀬戸内の島・宮島。
厳島神社の大鳥居と、青く穏やかな海。
潮の香り、寄せては返す波、牡蠣いかだの列。
ここには、昔からこんな言い伝えがあります。

「牡蠣に願いごとを言うと、海が聞いてくれる」


■ 食べる前に、そっとひとこと。

この言い伝えは、お寺や神社での正式な祈祷ではありません。
特別な儀式も、決まった言葉もいりません。

ただ、お椀の中の牡蠣に向かって、静かに願いごとを言うだけ。

「受験、うまくいきますように。」
「今年も家族みんな元気で。」
「また来年もここに来られますように。」

海の恵みに感謝しながら、小さく、心の中でつぶやく。
それだけでいいのです。


■ どうして“牡蠣”なの?

牡蠣は、海に根を張って何年も動かず生きる生きもの。
波のリズム、潮の満ち引き、空気の変化――
人間よりずっと長く、海の気配を感じて生きています。

だから昔の人たちは、
「牡蠣はきっと海とつながってる」と思ったのかもしれません。
願いを託すには、これ以上ない“海の使い”だったのです。


■ 信じるかどうかは、あなた次第。

科学的な根拠は、もちろんありません。
でも、願うことに理由はいらない。
ましてや、食べる前にちょっと感謝して、少しだけ未来に期待してもいい。

宮島の人々がそうしてきたように、
私たちも、“ひと粒の牡蠣に願いをかける”くらいの心の余白を持っていていいのかもしれません。


▶ いつか宮島に行くことがあったら。

牡蠣を食べるその前に、
どうぞ、そっと願いごとをしてみてください。

もしかしたら、その願いが、
波の向こうのどこかへ、ふわりと届くかもしれません。