牡蠣の「R」がつく月だけ?旬の見極め方と一年を通した楽しみ方

「Rのつかない月は牡蠣を食べるな」って本当?

「May, June, July, August——Rがつかない月は牡蠣を食べてはいけない」

欧米で古くから言い伝えられてきた格言です。 5月から8月、つまり夏の間は牡蠣を避けるべきだという意味。

でも、この言葉は本当に正しいのでしょうか。

実は、この格言には理由がありますが、現代の日本では必ずしも当てはまりません。 むしろ、一年中おいしい牡蠣を楽しめる時代になっています。

「Rのつかない月」説が生まれた3つの理由

①産卵期で味が落ちる

欧米で主流のヨーロッパヒラガキは、夏に産卵期を迎えます。 産卵のために栄養を使い果たし、身が痩せて水っぽくなる。 だから夏は避けるべきとされました。

②冷蔵技術がなかった

この格言が生まれたのは、冷蔵庫がない時代。 夏場の常温では牡蠣が傷みやすく、食中毒のリスクが高かったのです。

③貝毒のリスク

夏場は海水温が上がり、有害なプランクトンが発生しやすい時期。 牡蠣がそのプランクトンを食べると、貝毒が蓄積される可能性がありました。

つまり、この格言は「当時の欧米の牡蠣事情」に基づいたもの。 現代の日本、特に管理された養殖環境では、状況が大きく異なります。

日本の牡蠣には「2つの旬」がある

日本で食べられている牡蠣は、主に2種類あります。

真牡蠣(マガキ) 旬は冬。11月から5月頃まで。 小ぶりながら、クリーミーで濃厚な味わいが特長です。

岩牡蠣(イワガキ) 旬は夏。6月から9月頃まで。 大ぶりで、さっぱりとした味わい。 天然ものが多く、高級食材として知られています。

つまり、日本では冬も夏も、それぞれ違う牡蠣の旬を楽しめるのです。


 

光栄水産の挑戦「夏でもおいしい真牡蠣」

ここで、ひとつ疑問が浮かびます。

「真牡蠣は冬が旬なら、夏は食べられないの?」

従来の常識では、答えは「イエス」でした。 真牡蠣は夏に産卵期を迎え、身が痩せてしまうからです。

しかし、光栄水産では8年の歳月をかけて、この常識を覆しました。

それが「赤穂クリスタルブラン」です。


 

赤穂クリスタルブランとは

赤穂クリスタルブランは、6月から10月末に出荷される「夏の真牡蠣」です。

通常の真牡蠣が産卵で痩せてしまう時期に、なぜおいしい牡蠣が作れるのか。

その秘密は「シングルシード」と「バスケット養殖」にあります。

シングルシードとは 牡蠣の稚貝を一粒ずつ分離して育てる方法です。 従来の養殖では、複数の牡蠣がくっついた状態で成長しますが、シングルシードでは一粒一粒が独立しています。

バスケット養殖とは 専用のバスケットに牡蠣を入れ、波で転がしながら育てる方法です。 太陽光と海の栄養が、一粒一粒にしっかり行き渡ります。

この手法により、夏でも身がふっくらと太り、濃厚かつフレッシュな味わいを実現しました。

深いカップ(殻の形)も特長で、見た目にも美しい牡蠣に仕上がっています。


 

坂越湾が育む、一年を通したおいしさ

光栄水産の牡蠣が育つのは、兵庫県赤穂市の坂越湾。

この湾には、2つの自然の恵みが流れ込んでいます。

①生島からの栄養 坂越湾に浮かぶ生島は、古くから人の立ち入りが禁じられてきた神聖な島。 手つかずの自然が残り、豊かな栄養分が海に供給されています。

②千種川の清流 茶臼山の麓を流れる千種川。 山のミネラルを含んだ清らかな水が、坂越湾に注ぎ込みます。

この2つが混ざり合うことで、牡蠣の餌となるプランクトンが豊富に育ち、うま味の濃い牡蠣が生まれるのです。

さらに、瀬戸内海特有の穏やかな波と、降り注ぐ太陽光。 これらすべてが、坂越の牡蠣を特別なものにしています。


 

月ごとの牡蠣の楽しみ方

では、具体的にどの時期にどんな牡蠣を楽しめるのか。 光栄水産の牡蠣を例に、月ごとの特徴を見てみましょう。

11月〜1月(冬の真牡蠣・前半)

海水温が下がり、牡蠣が栄養を蓄え始める時期。 身が徐々に太り、うま味が増していきます。

おすすめの食べ方 生牡蠣、蒸し牡蠣

2月〜3月(冬の真牡蠣・最盛期)

一年で最も身が太る時期。 グリコーゲンが最大限に蓄えられ、甘みとコクが最高潮に。

おすすめの食べ方 生牡蠣、牡蠣フライ、鍋

4月〜5月(冬の真牡蠣・終盤)

産卵に向けて、少しずつ身が変化していく時期。 まだ十分においしいですが、早めに召し上がるのがおすすめ。

おすすめの食べ方 炊き込みご飯、パスタ、オイル漬け

6月〜8月(赤穂クリスタルブラン・前半)

夏の真牡蠣が登場。 濃厚でありながら、どこかフレッシュな味わい。 夏にしか味わえない特別な牡蠣です。

おすすめの食べ方 生牡蠣(冷やして)、蒸し牡蠣、バーベキュー

9月〜10月(赤穂クリスタルブラン・終盤)

秋に向けて、さらに味が深まる時期。 冬の真牡蠣への橋渡しとなる季節。

おすすめの食べ方 焼き牡蠣、グラタン、アヒージョ


 

旬の牡蠣を見極めるポイント

「旬」とは単に時期だけでなく、牡蠣そのものの状態も大切です。

おいしい牡蠣を見極めるポイントをお伝えします。

①身の色 新鮮な牡蠣は、乳白色からクリーム色。 黒ずんでいたり、黄色すぎるものは避けましょう。

②身の張り ぷっくりと膨らんで、弾力があるもの。 しぼんでいるものは、鮮度が落ちている可能性があります。

③香り 新鮮な磯の香り。 アンモニア臭や酸っぱい匂いがしたら、傷んでいるサインです。

④殻の状態(殻付きの場合) しっかり閉じているもの。 開いていて、触っても閉じないものは避けてください。

光栄水産の牡蠣は、朝収穫したものをその日のうちに発送。 届いたときが最高の状態になるよう、鮮度管理を徹底しています。


 

「Rのつかない月」を気にしなくていい理由

ここまで読んでいただければ、もうおわかりでしょう。

「Rのつかない月は牡蠣を食べるな」という格言は、現代の日本では気にする必要がありません。

その理由をまとめます。

①養殖技術の進化 シングルシードやバスケット養殖など、新しい技術により、夏でもおいしい真牡蠣が作れるようになりました。

②徹底した品質管理 冷蔵・冷凍技術の発達、貝毒検査の義務化、衛生管理の徹底により、一年中安全に牡蠣を楽しめます。

③生産者の努力 光栄水産のように、一年を通しておいしい牡蠣を届けるために、日々研究と改良を重ねている生産者がいます。

古い格言にとらわれず、現代の技術と生産者の努力を信頼してください。


 

まとめ

「Rのつかない月」の格言は、冷蔵技術がなく、養殖方法も限られていた時代の知恵でした。

でも、現代の日本では違います。

冬には濃厚でクリーミーな真牡蠣。 夏には光栄水産が8年かけて開発した赤穂クリスタルブラン。

一年を通して、その時期ならではのおいしさを楽しめるのです。

坂越湾の豊かな自然と、生産者の情熱が詰まった牡蠣。 ぜひ、季節ごとの味わいの違いを体験してみてください。

あなたの「牡蠣の旬」が、きっと広がるはずです。