出汁でわかる、牡蠣の出来
牡蠣の良し悪しは、
実は一口目ではなく、鍋の中でわかります。
焼いたときの香りでも、
見た目の大きさでもなく、
いちばん正直なのは――出汁。
火を入れた瞬間に溶け出す味に、
その年の牡蠣の出来は、すべて表れます。
出汁は、隠せない
牡蠣を煮る、蒸す、出汁を引く。
このとき、味をごまかすことはできません。
-
雑味が出るか
-
甘みが残るか
-
後味が濁るか
-
余韻が続くか
調味料を足す前に、
答えはもう出ている。
だから料理人は、
まず出汁を見るのです。
いい牡蠣の出汁は、澄んでいる
出来のいい牡蠣は、
出汁にすると、不思議と主張しすぎません。
-
香りはやさしく
-
塩味は丸く
-
旨みは静かに広がる
強くはないのに、
「足りない」と感じさせない。
この奥行きこそが、
冬の良い牡蠣の証拠です。
冬の牡蠣は、出汁がきれい
水温が下がる冬。
牡蠣は余計な活動をやめ、
中に旨みを溜め込んでいきます。
その結果、
-
身の密度が上がり
-
雑味が減り
-
出汁が濁りにくくなる
特に一月の牡蠣は、
出汁で差がはっきり出る時期。
煮ても、濁らず、
最後まで飲める出汁になります。
何もしない料理ほど、差が出る
雑炊、鍋、ラーメン。
材料が少ない料理ほど、
牡蠣の出来はごまかせません。
だからこそ、
-
蒸すだけ
-
煮るだけ
-
出汁を引くだけ
そんな料理で「おいしい」と感じたなら、
それは牡蠣がちゃんと育っている証拠です。
出汁で語れる牡蠣は、強い
派手な料理にしなくても、
レモンやソースに頼らなくても、
出汁だけで成立する。
それは、
素材としての力があるということ。
牡蠣の出来を知りたければ、
まずは出汁を見てみてください。
出汁は、牡蠣の成績表。
一口飲めば、
その冬の答えが、静かにわかります。