祭りの熱気とともにやってくる、瀬戸内のごちそう「坂越の牡蠣」

太鼓の音と海の香り――秋祭りの季節に食べたくなる、坂越の牡蠣

10月、姫路の町に響く太鼓の音。
提灯の明かりがゆらめき、威勢のいい掛け声と笑い声が夜風に溶けていく。
播磨の秋祭りは、空気そのものが熱を帯びる特別な時間だ。

その熱気を見守るように、海の向こうでは静かに“旬の気配”が近づいている。
坂越湾や室津、赤穂の海。夏を越えた牡蠣が、海の栄養をたっぷり吸い込み、
身をぷっくりと太らせていく――それが、秋の訪れを告げるもう一つの合図。


祭りの夜に似合う「旬の牡蠣」という贅沢

だんじりが通り過ぎた後の、少し肌寒い夜。
ふと湯気の立つ台所から漂ってくる、磯の香り。
そんな瞬間に食べたくなるのが、旬の牡蠣だ。

炭火で軽くあぶった殻付き牡蠣を開けると、
ふっくらと光る身が現れ、潮の香りがふわっと立ち上る。
レモンをひと絞り。
それだけで、海と季節のうま味が一気に広がる。

秋祭りのあとの食卓に、
こうした一品があれば、それだけで“秋が満ちる”。


家族でわいわい、秋の団らんにぴったりの牡蠣料理

お祭り帰りに家族で囲む夕食。
そんな時間におすすめなのが「牡蠣のホイル焼き」や「牡蠣の味噌バター炒め」。

アルミホイルに牡蠣ときのこ、少しの酒を包んで焼けば、
香ばしい香りが広がり、子どもも思わず箸を伸ばす。
大人は日本酒やビール片手に、ゆったりと秋の夜を楽しむ。

また、姫路風に“お好み焼き”に牡蠣を加えれば、
地元らしいごちそうにも早変わり。
粉もの文化と海の幸が出会う、まさに“播磨の秋味”だ。


地元が育てる、瀬戸内の誇り「坂越産牡蠣」

姫路から車で30分ほどの坂越湾。
ここで育つ牡蠣は、透明度の高い海水と豊富なプランクトンに恵まれ、
「赤穂クリスタルブラン」としても知られるブランド牡蠣。

雑味が少なく、うま味が深い――
一口食べれば、秋の海の豊かさが舌に伝わる。
この時期の坂越産牡蠣は、まさに“瀬戸内の宝石”と呼ぶにふさわしい。


祭りの熱気を冷ますように、ゆっくり味わう秋の時間

屋台の明かりが消え、町が静けさを取り戻した夜。
台所で温めた牡蠣汁をすすりながら、
今日の賑わいを思い出す――。

そんな瞬間が、秋らしさをいちばん感じる。
人の温度と、海の温度が重なり合う季節。
姫路・播磨の秋は、祭りと牡蠣でできている。